6月議会報告③

遅ればせながら、6月議会の一般質問の内容をご報告。6月19日の一番手でした。

テーマは「健康づくり推進政策」と「生活困窮者への支援」についてです。

今日は「健康づくり推進政策」。推進のためには栄養士の増員が必要では、と提案しましたが、現状の人員で工夫したいとの答弁。健康増進、食事や栄養指導、市民の自覚的な健康管理、子どもの食育、いずれも専門家による導きがあってこそだと思いますので、引き続き、栄養士をはじめとした専門スタッフの充実を求めていきたいと思います。

 健康全体にも影響する歯周病対策のため、成人歯科検診を提案し、これについては検討すると言ってもらいました。

 

議会だよりや、議員団発行の議会報告の作成のため、以前から一般質問は自分で逐語起こしをしています。番号は私が加えたものですし、読みやすいように文体を変えている部分もありますが、敬語の部分とそうでない部分があって、読みにくいかもしれませんが、ご了承ください。

 

健康づくり推進政策について

【安田】境港市では、今年度、健康づくり推進計画の策定に取り組んでいるところであり、大いに期待するところです。健診受診率向上のための制度改正や様々な健康相談も展開してこられ、今、高齢期の虚弱、いわゆるフレイル予防の栄養・口腔機能、身体活動、社会参加ための事業も、地域包括支援センターが中心となって取り組んでおられる。

 今日は、フレイル予防にも重要とされる、栄養、口腔機能の維持や改善のための施策について質問をしていきたい。

    まず、食事、栄養管理が、健康にとって大事だということは、周知のとおりです。そこでまず、本市の栄養管理や食生活にかかわる事業の概要と課題についてお答えください。

    次に、全国で17万人が活動されている「食生活改善推進員」について、お尋ねします。通称「食改さん」とも呼ばれています。「私たちの健康は私たちの手で」をスローガンに、「健康づくりの案内役」として活動されているボランティアで、食育の推進と普及、啓発、食事バランスガイドの普及啓発、などに取り組んでおられます。境港市の食生活改善推進員の活動の概要をお答えください。

    食生活にかかわることの専門家といえば、栄養士です。国の通知でも、「市町村は、行政栄養士の職務の重要性にかんがみ、行政栄養士の計画的かつ継続的な確保に努めること」とされています。健康増進法に基づき策定された「基本方針」がH24年に「21世紀における国民健康づくり運動」いわゆる「健康日本21」に改定され、翌25年に出されたのが、先ほど紹介した通知です。そこで、本市における、栄養士の位置付け、役割はどうなっているか、お答えください。

    次に、口腔機能の維持、改善についてうかがいます。歯と口腔の健康は、食事や会話など、日々の生活を豊かにし、心身ともに健康で過ごすために欠かせないものです。地域包括支援センターの事業では、口腔ケアや、口腔の体操も取り入れておられます。また、歯周病は、多数の病気と関連していることも分かっています。国のデータによると、1524歳では重症の歯周病患者が10%に満たない一方で、年代が上がるにつれて徐々に罹患率が上がり、前期高齢者で約50%、後期高齢者で約60%に達しています。そこでまず、本市の歯周疾患や齲歯・虫歯の状況について、実態をうかがいます。

    また、健康日本21では、定期的に歯科検診を受けることが予防や早期治療につながり有効とされています。高齢者の保健事業として後期高齢者歯科健康診査が実施されていますが、これらの事業に加えて、成人歯科検診の実施が有効と考えますが、市長の見解をうかがいます。 

 

【市長】

    本市では、妊娠期から幼児期にかけて、栄養指導や離乳食講習会などを通じて栄養相談を実施している。

 保育園や小(中)学校においては、子どものころからの健康な生活習慣を身につけることをめざし、管理栄養士が中心となって食育の推進を図っている。また、保育園、小中学校の給食については、適切な栄養量の確保や新鮮で安全な食材の利用に努め、安心安全でおいしい給食を提供し、健全な成長や生涯を通じた健康の保持増進を図っている。

 食育を広く進めていくためには、ライフステージに応じた効果的な取り組みや、食生活改善推進員等との連携が不可欠である。現在策定中の「(仮称)境港市健康づくり推進計画」の中で、食に関する課題を明確にし、改善を進めていきたい。

    現在214名の方に食生活改善推進員として活動してもらっている。減塩をテーマにした味噌汁の塩分測定などの学習をはじめ、各公民館での料理教室、郷土料理の伝承など、「食」を中心に、地域に根付いた健康づくり活動の担い手としてご尽力いただいている。平成28年度には、食生活改善推進員自らが、小学校5年生を対象に「朝食実態調査」に取り組まれ、この結果をもとに、昨年度は、毎年各公民館で実施されている「子どもクッキング教室」に、児童が食習慣を振り返るきっかけづくりとなるよう、生活リズムと食事バランスについての学習も取り入れて実施された。

    管理栄養士の役割については、食生活の専門家として、保育園・小中学校におうての安全・安心な給食の提供をはじめ、地元食材を使った食育活動の推進、乳幼児から高齢者に至るまでのバランスの良い食生活の実践・健康相談など、あらゆるライフステージに応じた健全な食生活の推進を行っている。

 特に、乳幼児期からの正しい食事のとり方や、望まし食習慣の定着など、食を通じた人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図るため、食の大切さを伝えていくことが、管理栄養士として重要な役割だ。

   また、食生活改善推進員を養成し、推進員の方々と共に地域に根ざした活動を行うことで、市民の生活習慣病の発症予防と重症化予防を徹底し、健康寿命の延伸、医療費の削減にも取り組んでいる。

    本市の虫歯の罹患率は、平成28年度では、3歳児で9.9%、小学生で50.2%、中学生で38.8%となっており、経年的に見ると減少傾向にある。

成人期以降については、県民歯科疾患実態調査によると、県民の罹患率は、20歳代から60歳代において9割を超えている。歯周病にかかっている人の割合は、年代を追うごとに増加し、60歳代以降では、5割を超えているという結果であり、本市も同様な傾向にあると考えている。

    本年度から取り組んでいるフレイル予防の一つである、口腔機能の低下を予防するためには、早期から、自分の歯や口の状態に関心を持ち、かかりつけ歯科医を持つことが大切である。そのきっかけづくりとして、歯科検診を受けることは有効なので、実施については本年度策定する「(仮称)境港市健康づくり推進計画」の中で検討していきたい。

 

 

(追及質問)

【安田】今年3月策定された、第三期境港市地域福祉計画では、基本目標の「地域福祉を作る人づくり」として、「健康づくり地区推進員」とならんで、「食生活改善推進員の活動を積極的に支援するとともに、市民の健康づくりを地域ぐるみで推進するため、研修や学習の機会を提供し、健康づくりの中心となる人材の育成につとめます」とある。ボランティアの皆さんの活動には本当に敬意を表するものだが、残念ながら地域全体、広く市民にその活動の成果が浸透できていない印象がある。新たな具体的な取り組みのお考えはないか。

【福祉保健部長】食生活改善推進員の活動を充実させていきたい。構成メンバーの高齢化、人数が少なくなる状況が起こっている。2年に一度養成講座を行っており、人員の増強を行っているが、昨年の養成講座では、若い方の参加を進めるということで、託児をして、子育て中の皆さんにも参加していただける形にしている。新たに男性の会員も作っていこうということで、現在1名の方が入ってもらっている。まずこういった形で会員を増やし、その活動を皆さんの目に見えるような形で広めていきたい。

【安田】会員の年齢層はどれくらいの人数割合になっているか

【福祉保健部長】年齢層は確認していないが、活動の中でも子どもを見守りながらやろうということなので、おそらく小学生までの子どもをお持ちの方々だと思う。

【安田】たとえば、今、全国で広がっている、子ども食堂や地域食堂の取り組み、市内でも介護施設が地域貢献活動として毎週や月1回実施している。食改さんも年数回の料理教室などから、これを毎月の子ども食堂や地域食堂に発展させ、会員以外の地域の人も一緒になってできる活動をされるとよいと思うが、いかがでしょうか。

【福祉保健部長】子ども食堂は「はまかぜ」が行っておられる。これが広がっていくということは確かに必要なことかと思っているが、地域の力があって初めて成り立つことだと思う。そういった形になるようにいろいろな策を考えていきたい。

【安田】県の「子どもの居場所づくり」推進モデル事業がありますし、実施となれば、行政としても支援をしてもらいたいと思う。

また、本市でも以前行われていた、味噌汁の塩分調査や、塩分チェックシートなどで、食生活の実態調査をおこなえば、それによって、市民への啓発を図ることも同時にできる。こういった取り組みについてはどのように考えられるか?

【福祉保健部長】味噌汁の塩分測定については、食生活改善推進員も非常に重きを置いており、塩分測定器を持って、食事時に近所周りを訪問して塩分測定し、味噌汁の薄い・濃い、などの統計もとっている。そういった活動を一つずつ積み重ねてもらって、市全体の活動に広がればいいと思う。

【安田】いずれにしても、食生活改善推進員のやりたいことということが重要だと思う。その要望とやる気にこたえられる支援をしてもらいたい。

そして、食生活改善推進員の活動の推進にも、せっかく統計もとって市全体、地域全体に広がるということであれば、そういったデータの分析などにも、栄養士の役割が重要になってくると思うが、栄養士の配置は現状では足りないのではないか。健診から継続指導につながるなどして日常的に食生活や栄養面の相談をされれば、対応が必要。鳥取県の食生活調査では、野菜の摂取量が少ない、30代、50代の男性と20代の女性の朝食の欠食率が高いなどの傾向があるので、こういったことの分析にもとづいた専門的な助言も必要でしょう。また、今は乳幼児健診の栄養指導も子育て支援課の栄養士が行っているが、当然、健康相談も含め、健診の担当課である健康推進課への栄養士の配置が必要だと思うが、この点、いかがか。

【福祉保健部長】栄養士の配置については、健康推進課には配置していないが、子育て支援課と協力できる体制をとって業務を進めている。近い将来、給食センターにも栄養士の配置があるので、そちらの栄養士を健康推進課に配置するということもやり方の一つかと思うので、検討していきたい。

【安田】健康づくり推進、食育ということで、大きな事業や計画に取り組もうとしている時なので、今ある人材でなんとかやりくりするということではなく、新たな人材の育成や増やしていくということも、力を入れる部分には必要だと思う。ぜひ、人材の増員ということも前向きにご検討いただきたい。市長のお考えもお聞かせください。

【市長】現在市には二人の栄養士がいる。一人は全体的な栄養に携わっており、もう一人は学校給食の子どもたちの栄養指導や食材の調達の仕事をしている。加えて県の栄養士が3人学校給食には配置されている。教育委員会の栄養士については、もう少し市民全体の健康づくりの方にタッチしていってもいいのではないかと思っているところだ。教育委員会とも早急にこの件についても協議をしていきたい。安田議員は増員ということをおっしゃり、よくわかるが、市全体のいろんな状況を勘案しながら採用は考えていかないといけない。現有勢力の中でそういった体制がしっかり取れれば対応できるということであれば、今言ったようなやり方で市民の健康づくりについてもしっかり対応していきたい。

【安田】給食センターの栄養士について言及があったが、今後の給食センターの在り方ということもあるが、市民、保護者、子どもたちのニーズとしては、食育はもちろん、アレルギー対応ももっと充実してほしいという声も聞く。そういった意味では、市長はそういわれるが、やはり重点に力を入れるところには、人を配置するというのは当然の考え方だと思う。英断して人を増やしていくのかしっかり検討してほしい。

 

成人歯科検診については、取り組みを始めること自体が、取り組みを始めること自体が、まず口腔ケアが大事ですよという啓発になり、治療に伴う痛みや長期化を懸念して受診を躊躇する方の背中を押してあげるきっかけにもなりえる。歯科医師の先生方とも意見交換をされ、実施にむけ検討してほしい。